otoki

お斎は伝統的な『報恩講』の食事で、大切な仏事のひとつです。婦人会の方々によってつくられ、皆様のもとに並べられます。

 「斎」の文字は「つつしむ」を意味します。正午以前に一回食べるのが仏弟子の正式な食事でした。これが転じて、肉食をしないこととなり、仏事の時の食事を言うようになり、仏事法要などに食を供養するのを斎食(さいじき)というようになりました。「おとき」ともいいます。
 (「広説仏教語大辞典」中村元)より参考

 大谷嬉子様はご著書『慈光のなかで』(本願寺出版社刊)において「おときのこころ」を次のように申されています。

 私ども、浄土真宗のみ教えをいただく者は、厳しい戒律に生きるということはありませんが、毎月の宗祖聖人のご命日をはじめとして報恩講のご法要の折、また永代経法要の時、お精進をする習慣になっています。(中略)心してお精進をして、常々どうしても殺生をせずには生きられない私を、あらためて振り返れば、そのようなわたしであるからこそ、み仏さまのご本願に救われる身であることを、聖人を、また親しい故人を偲びながら、喜ぶことができると思います。また、それぞれの寺院の伝統のお斎は、(中略)遠い祖先と、同じ念仏に生きているという念いを深めることができるでありましょう。そして、そのお斎が継承されて、また未来を生きるであろう子孫にも、その念いが伝わってほしいと思います。(「しみじみと報恩講」籠谷眞智子)より